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1時間の価値:ワークライフバランスを考える

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カシオ計算機が2007年に世界4大都市のビジネスパーソンを対象に調査した「1時間の価値」は、ベルリン4万2869円(1ユーロ:163円)、ニューヨーク3万9240円(1ドル:120円)、北京9735円(1元:15円)、東京9193円という驚くべき結果でありました。ベルリンは東京の4.66倍、ニューヨークは4.26倍も価値が高い結果で、時間に対する認識が全く異なることが分かります。北京も金額では近い水準になっているが平均所得が日本の半分以下であることを考慮すると東京の2倍以上の価値を認識していると思われます。

また、1日24時間に足して増やしたい時間は東京がトップで平均8時間32分、次いで北京の平均6時間54分、ニューヨークの平均6時間32分、ベルリンの平均5時間27分でした。1時間の価値が低い都市ほど足して増やしたい時間が多くなっており、時間密度の濃度が関係しているのかもしれないと感じます。

日本人が時間に対して価値を感じにくい特性があるのは何故でしょうか。日本もドイツも第二次世界大戦の敗戦国である点は共通であり戦後復興に全力で取り組んできた点も同じでありながら時間に対する価値観に約5倍の格差を生じているのは仕事観や人生観が大きく異なっているからではないでしょうか。

以前ヨーロッパを旅した時に現地ガイドから「西欧人の人生観はキリスト教の影響が大きく、キリスト教の教えで人間は生まれながらにして罪深い存在であり、その罪を償うために労働を課せられているので日本人がエコノミックアニマルと揶揄されている背景には日本人は罪深き民族なので神からモーレツに働かされていると思われている」と説明を受けた際、働くことの意味合いがヨーロッパと日本では真逆のように感じたのを鮮明に覚えています。
西欧の個人主義の対極にある「滅私奉公」という考えが昔からある日本は戦後復興期には美徳的に取り扱われており、その流れが未だに日本人の仕事観の底流に残り続けているように感じます。「滅私奉公」の本来の意味は「精神の磨き」の意味で、自分がこの世に生まれて生きる意味や働く意味を学び悟るために行動することでしたが、その精神は忘れ去られ組織のために自己犠牲を捧げるような意味で使われるようになっているのが現実です。その結果、長時間労働、休日出勤、有給休暇の未消化が一向に改善される兆しがない現状からワークライフバランスがクローズアップされてきたのではないでしょうか。ワークライフバランスを実現するには時間生産性を向上させることが不可欠ですが、その取り組みを真剣に行っている組織は依然少ないのが現実だと思います。

日本生産性本部の労働生産性の2014年度国際比較では、日本はOECD加盟34か国中21位(就業者1人当たり名目付加価値:768万円)と下位グループであり、2005年から10年間順位が変わっておらず、主要先進国7か国で最下位と厳しい状況にある。1位はルクセンブルグ(1389万円)、4位米国(1168万円)、7位フランス(996万円)、10位イタリア(955万円)、12位ドイツ(929万円)で、日本はドイツの82%に過ぎない状況です。過去を振り返ると1970年は18位、1980年19位、1990年16位(バブル絶頂期)、2000年22位でバブル期の特殊時期を除けば1970年から45年の長きにわたり生産性の国際競争力は低下してきており、今後日本の生産人口(15~65歳)が減少し続けることを考えると労働生産性の向上が日本の発展にとって急務であることは明らかです。

就業1時間当たりの労働生産性は、21位(41.3ドル)で、時間生産性も下位グループである。1位はルクセンブルグ(92.7ドル)、6位米国(66.3ドル)、7位フランス(65.1ドル)、9位ドイツ(63.4ドル)、17位イタリア(50.1ドル)で、ドイツの時間生産性の高さが分かる(一人当たり順位は12位)。日本はドイツの65%の生産性に過ぎないことから前述のとおり時間価値をドイツ人並みに高める努力が国策として必要であると思います。

ただ、国策が策定されるのを待つよりもオフィスワーカー1人1人が時間価値を強く認識し集中して業務に邁進し限られた時間の中で成果を高めることの取り組みを一日も早く始めることが大切であると思います。そして、その1人1人の取り組みが組織全体に浸透して行けば時間価値の認識の高まりが加速度的進み長年停滞していた日本の労働生産性が半世紀ぶり上向き、ワークライフバランスを実現し豊かな生活を手に入れることができるはずです。その第一歩として業務基礎スキルの無料診断を受けてみてご自身の仕事のさばき力の長所短所を把握してみてはいかがでしょうか。

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